この先に女性トイレはありません
こんな立派な案内板を設置してあるので、さぞ立派なホテルか式場ですね~
英語の「We have no~」も、最後の「hereafter」まで目が行くまでは、えっ?こんな立派な所で女性トイレがないの?なんて、大袈裟に書いてすみません。「We have」は余計ですが、丁寧に書いてあるつもりですかね。まぁ、英語は意味が一応解りますので、いいとしましょう。
中国語はやっちゃいましたね、全く違う意味になってしまいました。英語がなかったら「性差別?」とトラブっていたかも知れません。「この先」と言う日本語からの機械翻訳でしょう。
日本語のファジーさ加減が現れています。場所もこの先、未来もこの先を使います。中国語の場合は分かれていますので、「今后没有女厕所」の「今后」は時系列で未来形のみを表現します。
この施設では「今後女子トイレ」がなくなると言う理解で、「性差別?」とは流石に思わないですが、併記してある英語と日本語がわからない年配な中国旅行者なら、
「あ、ねぇねぇ、今後女子トイレが無くなるって書いてあるよ、女性はどうするんかな」
「そうなの?無くなるの?私たちが来た今はまだあるのよね、反対側にあったけど。」
「いいじゃん、それで、今後の事も人の事もどうでも、それより」
「なに、なに」
「なくなるなら、記念に写真を撮っとこうよ」
「え~、トイレの?いやだよ~」
「でもぉ、こんな立派な施設よ、きっとトイレだって高級な雰囲気なのよ」
「そうかもね、きっとそうだ、今のうちに撮っとこうか」
「そうだよ、行こう、行こう!」
と、5~6人がぞろぞろと団体行動でトイレへ移動し、写真撮ったり、ポーズ取ったり、暫くは賑やかだったかも・・・・・・
おっと、これはフィクションです。筆者の勝手な妄想です。そんな事が起こりそうなトイレ案内板です。では、場所的に「この先」は中国語で何と言いますか?
正しく表示するなら、ここより先はの中国語で「此后」を使います。
此后没有女厕所
そう言えば、「この先」ではなく、「ここより先」なら機械翻訳でも正解が出せたかもしれません。はぁ、男性トイレだったら誰も気にしなかったかもですね。
他にも言い方はあります。向かっている方向の前に「前面」を使います。
前面没有女厕所
ちなみに、「女」を「男」に変えると、男子トイレの表示になりますし、「女」を抜けばトイレ全般の表示になります。施設内と限らず、公共トイレなども同じ表現になりますので、どうぞお使いください。
文明社会を測るものはトイレである、これは筆者の上司が25年前、中国出張時にトイレ探しで苦労した際の話でした。実際の問題、中国は一昔、公衆トイレと言うものが殆どなく、大きな公園に設置してあった公衆トイレも、日本人には入りたくないものでした。ドアが無く、一本の溝があるだけでしたよ。一番酷いのは筆者が中国西部へ出張した際に立ち寄った食堂で、「おトイレ貸してください」と言うと、裏庭へ連れて行かれ、土に掘ってあった穴を指さされて、トイレだよ!と言われました。野外です、露天です。漏らした方がマシだわ~
中国出張でトイレにまつわるトラブルが多く、企業訪問や工場見学でもドアのないトイレは苦痛でした。さすがに今の中国若者は、ドアの無いトイレは使いませんでしょう。市場経済が飛躍的に成長し、トイレも成長するでしょう。
日本に来る海外のお客様は、トイレを探して困るような事は殆どないと思います。あっちこっちに公衆トイレがあるし、コンビニでも貸してくれます。清潔で匂いにも気を遣っています。折角立派な施設内で、トイレ表示で困らせないで、堂々と文明社会である事を示して欲しいですよね。